山形大学医学部附属病院における研修医から見た乳房悪性腫瘍手術の経験

書誌事項

タイトル別名
  • Recent cases of breast cancer surgery in our hospital

この論文をさがす

説明

論文(Article)

【背景】20年以上の間に渡って女性の部位別癌罹患数の1位を占める乳癌は他部位の癌より比較的若年で発症することで知られている。山形大学医学部外科学第一講座乳腺班で研修医として乳癌治療に携わった経験を踏まえ、山形大学医学部附属病院における最近の乳癌治療ついて報告する。 【方法】2016年1月から2017年3月までに山形大学医学部附属病院において施行した乳腺疾患手術を対象とし、発見経緯、センチネルリンパ節生検(Sentinel lymph node biopsy; SLNB)、術後補助療法について診療録、手術記録、病理診断を用いて後ろ向きに検討した。 【結果】15ヶ月間で施行した乳癌手術は70例であった。42例(60%)が腫瘤自覚、28例(40%)が検診によって発見されていた。腫瘍径2cm以上で検診で発見された症例は7例(22.6%)認めた。  SLNBを施行したのは48例(68.6%)であり、腋窩郭清を追加したのは13例(27.1%)であった。乳房部分切除術でSLNBを施行し腋窩郭清を追加したのは4例(14.8%)であり、乳房切除術では9例(42.9%)であった。病理診断ではSLNBに腋窩郭清を追加した中で6例(46.2%)が腋窩リンパ節転移陽性であった。Level Ⅰまでの腋窩郭清を行った症例では2例(66.7%)で陽性となった。Level Ⅱまで行った症例ではLevel Ⅰリンパ節で陽性となったのは5例(45.5%)であり、Level Ⅱで陽性になったのは2例(18.2%)であった。 【結論】当院においても2cm未満の半数が検診で発見されており、乳癌検診の普及は進んでいると考えられるが、自己触診についても含めてさらなる啓蒙が重要であると考えられた。また今後はSLNB陽性例でも腋窩郭清を省略する症例が増えていくことになると考えられた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ