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- タイトル別名
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- Evaluation of Antimicrobial Use Density and Days of Therapy of Antibacterial Drugs and Resistance Rates
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論文(Article)
【背景】医療施設における抗菌薬の適正使用促進は、感染制御チームの主要業務の一つである。抗菌薬の使用量サーベイランスは問題となる抗菌薬使用状況を把握するとともに、適正使用の評価のための指標となる。 【方法】2010年度から2016年度までに使用した抗菌薬について算出した年度別の抗菌薬使用密度(AUD)とPseudomonas aeruginosa(P. aeruginosa)、Escherichia coli(E. coli)、Acinetobacter baumannii(A. baumannii)の抗菌薬耐性率との相関性ついて検討した。月別の解析は2012年度から2016年度にかけて、0ヶ月前から12ヶ月前のAUDとA. baumanniiの抗菌薬耐性率との相関性を検討した。 【結果】注射用抗菌薬の全使用量は、2010年度より急増し年々増加している。AUDの年度別合計は2013年度より増加傾向を示し、DOTは年度別の合計に顕著な変化は認められなかった。2010年度の分離菌の耐性率は概ね低いものであった。2016年度には、A. baumanniiでは多くの抗菌薬に対し高い耐性率を示したが、P. aeruginosa、E. coliの感受性は保たれていた。年度別の相関性の検討ではセフトリアキソンやセフェピムのAUDとE. coliの耐性率に、ミノサイクリン(MINO)のAUDとA. baumanniiの耐性率に有意な相関性が認められた。月別の検討ではセフタジジム(CAZ)のAUDと9から12ヶ月後のCAZに対するA. baumanniiの耐性率に、また、MINOのAUDと0、1、3ヶ月後のMINOに対するA. baumanniiの耐性率に相関性が認められた。 【結論】当院での第3世代、第4世代セフェム系抗菌薬やテトラサイクリン系抗菌薬のAUDは全国の国立大学病院での平均値より高い傾向にあり、今回E. coliやA. baumanniiの耐性率と相関性が認められた一因であることが示唆された。また、年度毎の検討では相関性の認められなかったCAZの相関性が月別の検討では認められたことより、サーベイランスには月単位で、期間をずらした検討も有用であることが新たに示唆された。抗菌薬使用量と臨床分離菌の耐性化についてより詳細な検討を行うため、今後も継続的なより大規模なサーベイランスが重要である。
収録刊行物
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- 山形大学紀要. 医学 : 山形医学
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山形大学紀要. 医学 : 山形医学 37 (1), 8-18, 2019-02-15
山形大学
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390290699733091968
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- NII論文ID
- 120006559614
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- NII書誌ID
- AN00067279
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- ISSN
- 0288030X
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- CiNii Articles