胃癌患者における経口フッ化ピリミジンUFT の体内動態の検討 : 血管新生阻害作用を示す代謝物GHB とGBL を中心に

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  • Pharmacokinetics of Gamma-Hydroxybutylic Acid (GHB) and Gamma-Butyrolactone (GBL), the Anti-Angiogenic Metabolites of Oral Fluoropyrimidine UFT, in Patients with Gastric Cancer
  • Pharmacokinetics of gamma-hydroxybutylic acid (GHB) and gamma-butyrolactone (GBL), the anti-angiogenic metabolites of oraI fluoropyrimidine UFT, in patients with gastric cancer

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抄録

経口フッ化ピリミジン系抗がん剤の一つであるUFT(tegafur-uracil)は,近年,その代謝物で あるγ-hydrobutylic acid(GHB)とγ-butyronolactone(GBL)が,in vitro,in vivoで血管新 生阻害作用を示すことが報告された.しかしながら,UFT 常用量における,これらの代謝物の体内 動態は明らかにされていない.今回,我々は胃癌患者におけるUFT 内服後のGBL の動態を検討し た.組織学的に確認され根治切除手術がなされた胃癌症例10例に対し,術後補助化学療法として UFT 400mg 2x dailyが投与された.UFT 服薬開始後5日目,朝の服薬開始時点から0,0.5,1, 2,4時間後に採血を施行した.対照として健常人ボランティア10名から,UFT の内服が無い状態 で採血をおこなった(内因性GBL 濃度).Tegafur,5-FU,uracil,GBL をガスクロマトグラフィー 法にて測定した.内因性およびベースライン定常状態GBL 濃度は,健常者で16.8±4.0ng/ml,胃 癌患者で20.2±7.5ng/mlと差は無かった(p=0.221).Tegafur,5-FU,uracil,GBL のCmax は14.7 ± 5.2 and 4.0 ± 2.7 μg/ml,191.2 ± 115.3 and 147.5 ± 57.3 ng/mlであり,Tmax は1.0 ± 0.6,1.1 ± 0.6,0.9 ± 0.6 and 1.2 ± 0.6 hrであった.GBL のヒト血漿中体内動態 は,それがin vitroにおいて,血管新生抑制作用を示すIC50=25.8ng/mlよりも十分に高い濃度に 維持されることが証明された.UFT の示す活性に,主代謝物である5-FU の抗腫瘍活性,血管新生 抑制作用に加えて,直接の抗腫瘍活性を持たない副代謝物のGHB,GBL が血管新生抑制作用を介 して関与している可能性が示唆された.

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