林道切取りのり面における土砂移動
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- 森田 紘一
- 九州大学農学部林学科
書誌事項
- タイトル別名
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- Soil Movement on the Cutting Slope of a Forest Road
- リンドウ キリトリ ノリメン ニ オケル ドシャ イドウ
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抄録
構造の劣化のために,林道の切取りのり面で生産される,不安定土砂の動態を知ることは,下部構造の安全性,森林他の保全上,さらには,施設管理(ファシリティ・マネージメント)の上からも重要である.本研究では,切取りのり面からの崩落土砂の動態の特性について,のり面脚部(のり尻)に堆積している崩落土砂の特性の上から,検討を加え,次の結果をえた.①山腹斜面においては,表層に近い程ルーズな状態で土壌層が存在し,地形的には,凸型の地形においても,予想外に土壌の発達が著しく,そこに切取りのり面が作設されれば,崩落土砂の生産源になる可能性は十分にある.②切取りのり面上で生産された不安定土砂は,随時崩落し,のり尻に堆積する.堆積した土砂層の断面形状は,各段階において,堆積の先端を起点として,のり尻に向かって,成長型の曲線状を呈する.そして,堆積量を増す方向へ経時変化を遂げ,最終的に安息勾配の斜面を形成する.③1断面こおいて,切取りのり面長と土砂堆積面の面積は比例する.すなわち,堆積土砂量は土砂生産源の大きさに比例する.④切取りのり面から崩落した土砂の到達距離は,切取りのり面長に影響されるが,その範囲には限界がある.到達距離は,のり面長約2mで0.5mを越す.それ以上になると,構造上崩落土砂は側構へ流入する可能性が生じる.また,のり高5m(この場合,のり面長は5.8mで,到達距離は最大で約1,3mになる)毎に布設する小段も,幅1mでは崩落土砂を停止できない場合も生じる,⑤路線形は,切取りのり面の形状に対応する.のり面の斜面形については,崩落土砂は,凹型斜面では集中し,凸型斜面では拡散する.しかし,凸型斜面での原地盤への切込み量は,相対的に他の斜面形に比し,大きく,土砂の生産数が著しく増すため,下方への影響は大きい.
収録刊行物
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- 九州大学農学部演習林報告
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九州大学農学部演習林報告 74 13-22, 1996-03-28
九州大学農学部附属演習林
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390290699739520256
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- NII論文ID
- 110001380265
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- NII書誌ID
- AN00055178
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- DOI
- 10.15017/10920
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- HANDLE
- 2324/10920
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- NDL書誌ID
- 3955117
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- ISSN
- 04530284
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- NDL
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可