術後補助化学療法中の大腸がん患者の服薬アドヒアランスに関する縦断調査

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  • 永松 有紀
    九州大学大学院医学系学府保健学専攻 産業医科大学産業保健学部看護学科
  • 佐藤 実
    産業医科大学産業保健学部看護学科
  • 豊福 佳代
    九州大学大学院医学系学府保健学専攻 産業医科大学産業保健学部看護学科
  • 宮園 真美
    福岡看護大学
  • 樗木 晶子
    九州大学大学院医学研究院保健学部門

書誌事項

タイトル別名
  • Medication Adherence among Colorectal Cancer Patients Receiving Postoperative Adjuvant Chemotherapy: A longitudinal Study

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抄録

大腸がんの術後補助化学療法として経口抗がん剤を使用した療法は標準治療の一つとなっているが,日本において経口抗がん剤を用いた術後補助化学療法中の服薬アドヒアランスに関する報告は僅かである.本研究の目的は,経口抗がん剤を使用する術後補助化学療法を受ける大腸がん患者の服薬アドヒアランスの実態と服薬アドヒアランスの低下に関連する要因を明らかにすることである.61 名の患者(経口抗がん剤単独群33 名,経口抗がん剤に静注薬併用群28名)を対象として,6ヶ月間の術後補助化学療法の治療開始から3 時点(1〜2,3〜4,5〜6ヶ月後)において服薬アドヒアランス(MMAS-8 scores),不安と抑うつ(HADS)に関する質問紙調査を実施した.アドヒアランス低下に関連する要因の解析はロジスティック回帰分析を使用した.MMAS-8 scores によるアドヒアランスやHADS による不安と抑うつの術後6ヶ月間の経時的有意な変化は無かった.服薬アドヒアランスの低下に関連する要因は,治療開始1〜2ヶ月は経口抗がん剤単独による治療(OR:9.49)と抑うつ(OR:1.30)であった.治療開始5〜6ヶ月は経口抗がん剤単独治療(OR:6.39)が関与していた.本調査結果から,アドヒアランスを維持するためには,医療者はアドヒアランスの低下のリスクが高い経口抗がん剤単独治療を受ける患者や抑うつに焦点を当て,治療開始初期から継続的に教育的,精神的な支援を検討する必要があることが示唆された.

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