「ている」の論理的な文章中での使われ方 : 「効力持続」「長期的な動作継続」を重点にして

書誌事項

タイトル別名
  • Long-term Progressive and Perfective Usages of teiru in Scientific Books: Describing the Premise and Presenting the Conclusion
  • 「 テ イル 」 ノ ロンリテキ ナ ブンショウ チュウ デ ノ ツカワレ カタ : 「 コウリョク ジゾク 」 「 チョウキテキ ナ ドウサ ケイゾク 」 オ ジュウテン ニ シテ

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説明

本稿は,科学書に見られる「ている」の機能を,その長期の進行用法と完了用法に焦点を当てて分析したものである(それぞれ「運動長期」「効力持続」という名称を使う)。許 (2000)に従い,本稿は「ている」の進行用法を,短期の進行相(「運動短期」)と長期の進行相(「運動長期」)の2種類に分類した。「運動短期」は日常的な行動の進行を表し「運動長期」は社会現象あるいは自然現象,もしくはある現象に対する著者の考えを提示する。「ている」の完了用法(「効力持続」)は過去のできごとの影響が現在でも続いていることを含意する。科学書において「効力持続」は先行する研究を引用するのに適用される。科学書では「運動長期」と「効力持続」の「ている」は「話題提供」「結論」を表現する機能を持っている。「運動長期」「効力持続」の「ている」は,ある自然現象あるいは社会現象, 研究の結果や研究者の主張を取り上げ,そのことによってその節で何を問題にするかを提示するという話題提供の役割を果たしていた。そして,段落末においては,一定の現象や考え方,社会的自然的変化を示すという形で結論を示す役割を担っていた。科学的入門書で「運動長期」「効力持続」が話題提供,結論の表示に用いられるのは,「運動長期」が考えや理論あるいは一般的な事象を表すことができるためであろう。また「効力持続」は,先行研究を引用して議論の前提や結論を示している。「効力持続」の用法では統括主題の存在が,話題と議論,結論を関係させる要素として有効に働いているであろう。

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