話者分類に基づく地域類型化の試み : 全国方言意識調査データを用いた潜在クラス分析による検討

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タイトル別名
  • Regional Typology Based on Individual-level Clustering of Dialect Usage: A Latent Class Analysis of Nationwide Language Consciousness Survey Data
  • ワシャ ブンルイ ニ モトズク チイキ ルイケイカ ノ ココロミ : ゼンコク ホウゲン イシキ チョウサ データ オ モチイタ センザイ クラス ブンセキ ニ ヨル ケントウ

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説明

方言使用にかんする地域類型を考察するために,16歳以上の男女を対象とした全国規模の言語意識調査のデータを分析した。我々は言語使用にかんする話者個人レベルでの確率的なクラスタリングを得るために,潜在クラス分析を利用した。その結果に基づいて,地域的分布の特徴を調べることで得られたクラスター(潜在クラス)と地域との対応関係を同定することを試み,またその他の対象者属性と潜在クラスとの対応関係を精査することにした。その結果,次の五つの潜在クラスが抽出された:「クラス1:積極的方言話者」「クラス2:共通語話者」「クラス3:消極的使い分け派」「クラス4:積極的使い分け派」「クラス5:判断逡巡派」。用いた説明変数のうち,クラス帰属への効果が有意となったものは効果の大きな順に,生育地,職業,教育程度,年代であった。居住地都市規模と性の効果は有意ではなかった。話者の生育地の観点から,各クラスの特徴を示すと次の通りとなる。「クラス1:近畿・中国・四国生育者」「クラス2:首都圏・北海道生育者」「クラス3:北関東・甲信越・北陸・東海生育者」「クラス4:沖縄・九州・東北・中国生育者」「クラス5:北海道生育者」。職業についてもいくつかのクラスで特徴的なパターンを示した。年齢効果は,全体のサンプルでも,またいくつかの地域別に分析した結果でも,非線形な関係を示した。概してこれらの年齢の効果は二つかそれ以上の変化点をもち,多くの場合に35-40歳前後と60歳周辺に観察される。以上のような結果に基づき,我々の分析で得た地域類型の実質上の意味や,先行研究で得られた類型との関係を議論した。

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