大正~昭和戦前期のSP盤演説レコードにおける「場合」の読みについて

書誌事項

タイトル別名
  • The Pronunciation of the Word baai (場合) in 78 rpm Record Archives from the Taisho to the Early Showa Eras
  • タイショウ~ショウワセン ゼンキ ノ SPバン エンゼツ レコード ニ オケル 「 バアイ 」 ノ ヨミ ニ ツイテ

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説明

大正~昭和戦前期のSP盤演説レコードを収めた岡田コレクションでは,「場合」の読みとして「ばやい」という発音が多数を占めている。これに対して辞書記述,コーパス,国会審議の会議録・映像音声などを調査すると,現代語における読みでは「ばあい」が圧倒的多数を占めており,「場合」の発音が岡田コレクションの時代から現代にかけて大きく変化したことが窺われる。「ばやい」は寛政期の複数方言を記した洒落本に登場する形式であり,明治中期に発表された『音韻調査報告書』は「ばやい」という発音が全国的に分布する方言形であったことを示す。本論文では岡田コレクションにおける「ばやい」という発音が,講演者達の母語方言形であり,その後標準語教育が浸透するなかで「ばやい」が方言形,さらに卑語的表現として認知され,最終的に「場合」の読みとして「ばあい」が一般化したことを主張する。

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