<研究論文>滋賀県湖北方言の-tar-の性質と機能 --有生性の共起制限とアスペクト--

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タイトル別名
  • <Articles>A study on the suffix -tar- in the Japanese Kohoku dialect- its animacy co-occurence restrictions and aspectual behaviors
  • 滋賀県湖北方言の-tar-の性質と機能 : 有生性の共起制限とアスペクト
  • シガケン コホク ホウゲン ノ-tar-ノ セイシツ ト キノウ : ユウセイセイ ノ キョウキセイゲン ト アスペクト

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抄録

本稿は、滋賀県湖北方言のアスペクト接辞である-tar-の性質と機能を記述し、この接尾辞が 1) 主題となる名詞句との問に、有生性に関わる強い共起制限を持ち、無生物と共起すること 2) 先行する動詞にほとんど制限がなく生産性が高いことから、これを二次的なアスペクト標示とみなすことはできず、この方言のアスペクト体系において重要な役割を果たしていることを明らかにすることを日的とする。これは、語彙資源である存在動詞のar-の性質を継承するものであり、歴史的には金水(2006)などが提示するアスペクト形式の発達の過程を裏付けるものである。方言類型論的な観点からは、-tar-の付加に伴って他動詞の格体制に変換が生じる現象は佐々木(2007)などが提示する逆使役構文に該当すると考えられる。また、この共起制限は、この方言話者の現代日本語共通語(以下共通語)の使用に干渉し、-to-ar-に転移している。このような現象は、話者には意識されにくいものであり、方言話者の共通語形成の過程を観察する上で重要なデータとなり得ることを示す。

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