保育者省察尺度の妥当性検討についての一研究

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  • ホイクシャ セイサツ シャクド ノ ダトウセイ ケントウ ニ ツイテ ノ イチケンキュウ

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説明

本研究では,対話を中心とするアプローチによる省察力の育成において保育者省察尺度(杉村ら,2006)の妥当性を検討するため,以下の調査を行った.調査1では,現職保育者97 名と保育者養成課程学生2 年生387 名を対象に保育者省察尺度を調査し,信頼性係数ならびに両群間での平均値の比較,学生データの探索的因子分析を行った.調査2では,現職者を対象とした自由記述アンケートの分析をもとに,保育現場で期待される「気づき」と保育者省察尺度との比較を行うこととした.その結果,1)学生と現職とも信頼性係数は良好であり保育者省察尺度がある程度の信頼性を持っていることが推察された,2)学生より現職の得点が高い項目が多かったが,「他の人が子どもにどのように接しているか注意深く見る」などは学生が高得点であり"他者から学ぶ"姿勢を示していた,3)学生の因子分析結果はおおむね杉村ら(2006)の結果を反映しているが,実習場面に特有の特徴が読み取れた,4)現職の日々の振り返りにおいては自らの実践の計画・実践・反省・改善の視点が読み取れた,5)他者との交流を通した省察では,迷ったときや自分の考えを確かめたいときを中心に交流を求める姿勢が読み取れた.以上の結果から,保育者養成において学生の省察力を育成する際の評価指標としておおむね適用可能であると思われるとともに,他者との交流に関する省察を中心に項目を追加しながら,"他者から学ぶ"から"自ら学ぶ"へのステップを追跡できる尺度構成となることが期待される.

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