ロシア, カムチャッカ中央部における 火災後の植生遷移の空間パターン

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  • Spatial pattern of post-fire forest succession in Central Kamchatka, Russia

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抄録

北方林において森林火災は重要な自然かく乱であるが,極東ロシアにおいては,ソ連邦崩壊後の社会経済情勢に変化により,人為的な森林火災が増加している.本研究では,カムチャッカ半島中央部において火災後の植生回復年数が異なる3か所の林分で調査を行い,構成種による生存率と更新様式の違いが火災後の植生遷移にどのように影響するかを考察した.火災後2年目の林分では,Populus tremulaとBetula platyphyllaがそれぞれの更新様式(根萌芽および幹萌芽)に応じて,3mおよび0.5mのスケールで集中分布していた.火災後40年目の林分では,種子由来のLarix cajanderiが8 mのスケールで集中分布していた.火災後200年目の林分では,B.platyphyllaの株とL.cajanderiがともにランダム分布しており,B.platyphyllaの萌芽は個体群の更新・成長ではなく株の維持を担っていた.Bray-Curtis法による解析の結果から,火災後のP.tremulaおよびB.platyphyllaの相対的な生存率の違いによって,二次遷移の方向性が異なる可能性が示唆された.今後,カムチャッカ半島において人為による火災頻度が高くなれば,P.tremulaおよびB.platyphyllaが優占する遷移初期の森林が拡大し,L.cajanderiの個体群は減少すると考えられる.一方,火災が抑制されれば,L.cajanderiおよびB.platyphyllaが優占する遷移後期林が拡大するだろう.

収録刊行物

  • 低温科学

    低温科学 0073 1-6, 2015-03-31

    北海道大学低温科学研究所

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