ドゥルーズにおける「倒錯」の問題 : 1960年代におけるその展開と帰結

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タイトル別名
  • The problem of perversion in deleuze : its development and consequence in the 1960s
  • ドゥルーズ ニ オケル トウサク ノ モンダイ : 1960ネンダイ ニ オケル ソノ テンカイ トキケツ

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抄録

ドゥルーズは1940年代から1960 年代にかけて「倒錯」の問題を論じている。倒錯の概念は、一見すると1970 年代以降分裂症の概念にとって代わられてしまうかのように見えるが、それ自体還元不可能な独自性を持っており、ドゥルーズ哲学を貫く問題系をかたちづくっている。本稿では、『マゾッホとサド』(1967年)における二つの超越論的な企図であるサディズムとマゾヒズムを分析し、そのうちマゾヒズムを、あらゆる法や原理の彼岸を目指すサディズムに対するさらなる彼岸を開示するものとしてとりだす。ドゥルーズがマゾヒズムを特徴づけるメカニズムと考える「否認」と「排除」を、精神分析におけるそのプロブレマティックな地位に注目して詳細に検討することで、マゾヒズムが、サディズム的な超越論的企図さえも退けて一切の組織化の原理の手前を目指すものであることが明らかとなるだろう。マゾヒズムとはこのような意味で「手前の彼岸」なのである。そして、『意味の論理学』の動的発生論の読解を通じて、このようなマゾヒズム的倒錯の論理が、所与の破裂的で断片的で迫害的な対象関係をそっくりそのまま放棄するという仕方で、「器官なき身体」を導出することが明らかにされるだろう。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 33 75-88, 2012-03-31

    大阪大学大学院人間科学研究科社会学・人間学・人類学研究室

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