大学全入時代における高校生の進路意識

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  • High School Students' Thoughts on Their Career / Educational Course in the Time of Universal-Access to Higher Education
  • ダイガク ゼンニュウ ジダイ ニオケル コウコウセイ ノ シンロ イシキ

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抄録

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日本の高校生をとりまく状況はかわった。まず、高校卒業後の就職率がきわめて低くなった。それとは逆に、進学率、とくに大学進学率が高くなり、高校生の約半数が高等教育機関に進学するようになった。もはや大学全入時代といえる状況になっているのである。こうした状況は、高校生に変化を与えている。本稿の主な知見は以下のとおりである。(1)成績がよくない生徒でも、進学を希望するようになった。その結果、予定する進路が影響するといわれていた、高校生の進路に関する意識を変化させた。(2)希望進路別に見ても、勉強や学校生活の適応はあまり差がみられなくなった。(3)進学を希望している生徒でも、就職を希望している生徒でも、おなじ進路選択理由を選んでいた。それは「やりたいことをみつけたいから」といった理由だった。そんな結果を反映するように、将来つきたい職業は「ない」と答えるものが多かった。.進路構造の変化は、トラッキングの働きを弱め、高校ランクに応じた社会的地位を配分する働きを弱めた。高校はノン・エリートであるという敗者の烙印を押さなくなったため、高校生の適応はよくなった。しかしながら、高校は、エリ」トであるという勝者のラベリングもしなくなった。また、高校生自身も、さまざまなメッセージから、エリートであることよりも、自己実現をするヒと(ふさわしい仕事につくこと)を求めている。その結果、高校生は将来展望を描きにくくなっている。これは大学全入時代ならではの問題といえよう。

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