「身体性」と「癒し」に関する一考察~「聖娼」のイメージをもとに~

書誌事項

タイトル別名
  • A Study Concerning “KRADA" and “IYASHI" : Using the image of “Sacred Prostitute"
  • シンタイセイ ト イヤシ ニカンスル イチコウサツ セイショウ ノ イメージ ヲモトニ
  • 「 シンタイセイ 」 ト 「 イヤシ 」 ニ カンスル イチ コウサツ : 「 セイショウ 」 ノ イメージ オ モト ニ

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研究ノート

近年、心理療法に訪れる人々の中に、心身症や摂食障害といった体の症状を伴う女性が増えている。この背景について考えるうちに、心身二元論的に捉えることの限界を感じ、心とも体ともつかぬ、そのあいだにあるような、あるいはその両者を包み込むような「身体」があるのではないかと考え至るようになった。そこで本論においては、「身体性」について考えるための一つの素材として「聖娼」というイメージを用い、これを中心として連想されたいくつかのトピックについて考察した。聖娼とは神殿巫女とも呼ばれ、神殿を訪れる異邦人と聖なる性の結びつきをした女性たちである。論文構成は、1.聖娼というモチーフにおいて、聖娼のイメージやそこから考えられる二つの視点について触れ、2.女神イナンナでは、聖娼の儀式を見守る女神イナンナの属性について考察した。そして、3.主体的受動性と意識性及び、4.自然のリズムと聖娼は、聖娼のイメージから連想された二つの視点であり、ここでは女性が主体性を獲得していくことの必要性と困難さや、身体性の問題と女性性の荷う癒しの力の親近性、あるいは聖娼が体現している、生と死の循環や性のもつ「魔」の様相について論じた。これらは今後、身体性についてより考察を深めるための重要なキーワードになるように思われた。

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