経済成長過程における国際資本移動の利益

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  • ケイザイ セイチョウ カテイ ニ オケル コクサイ シホン イドウ ノ リエキ
  • The Gains from International Capital Movements in the Process of Economic Growth

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抄録

本稿の目的は,国際資本移動が一国の経済成長におよぼすさまざまな影響のなかでも,とくに資本移動が国民所得の時間経路に与える効果を分析することにある。この分析を行なうためには,資本が国際間を移動できない閉鎖経済における所得の時間経路と,資本が国際間を移動できる開放経済における所得の時間経路とを比較する必要がある。資本移動が所得の時間経路に与える効果については,すでにAmano(1965)およびGale(1974)において若干の検討がなされている。しかしながら,Amano(1965)では,開放経済への移行時点において一国が閉鎖経済での均斉成長経路に位置している場合に分析が限定されており,Gale(1974)では,開放経済への移行時点における所得の変化に関する‘ShortRun Trade Gains Theorem'そして閉鎖経済における均斉成長経路上での所得水準と開放経済における均斉成長経路上での所得水準とを比較した‘Long Run Trade Gains Theorem'が示されているにすぎない。したがって,かれらの分析においては,一国が閉鎖経済における均斉成長経路に位置していない状態で資本移動が開始された場合,資本移動が所得の時間経路全体におよぼす効果がどのようなものであるかについては,なんら考慮が払われていないのである。それゆえ,本稿ではこの問題に対する解答を与えることにしよう。

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