企業における女性労働の国際比較と経営上の意味

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タイトル別名
  • キギョウ ニ オケル ジョセイ ロウドウ ノ コクサイ ヒカク ト ケイエイ ジョウ ノ イミ
  • Human Resource Management Strategies in Japan and China : Viewpoi of Woman and Society

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説明

本稿は中国と日本における女性労働の通時,共時的比較を行い.女性労働の経営学的な機能の変化と組織内の構造の変化を問題にする。女性は日本においては補助的労働者として長く位置付けられてきた。中国においては男性と対等に職務を遂行してきた。この点で両者は対峠的な女性労働モデルと規定できる。ところが1990年代にはいり,日本の女性は補助的労働から積極的分業へと徐々に変化しはじめた。中国においても市場経済化の進展とともに新しい変化が表れてきている。前稿(馬,1998)では主に中国における女性の企業における役割の変化,それのもたらす市場,組織間関係への影響,とくに失業問題に焦点をおいて論じた。これに基づき中国女性が経済的成功の機会と引き替えに対等な職場を失いつつあることを本稿において再度に日本との比較において男女格差仮説の視点より問題にする。その中で男女格差産業選択傾向差仮説を提示し,中日の90年代の状況と背景のかなりの部分がこれで説明できることを示す。 日本の変化は企業の全体システムが女性への機能を規定してきたモデルで説明できる。日本においてはジョブローテーション(小池,1994)が職場の組織構成員のゼネラリスト化を進行させ,そのジョブローテーションから排除される傾向をもっていた存在,女性は補助的機能の縁辺労働者として機能を規定された。中国の変化は社会システムが女性の機能を規定してきた。したがって,日本における90年代の変化は国際化,不況の深化による企業の全体システムの崩壊に連動し,中国における変化は前稿のように国家の変化,市場化に連鎖したと思われる。以下上記の視点で中日比較を行う。

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