「アートプロジェクト」の美的評価 : その理論的モデルを求めて ② グラント・ケスター『カンヴァセーション・ピーシズ』における「対話の美学」

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タイトル別名
  • Evaluating “Art Project” Aesthetically : A Survey of Prior Attempts 2: “Dialogical Aesthetics” in Conversation Pieces by Grant H. Kester
  • アートプロジェクト ノ ビテキ ヒョウカ ソノ リロンテキ モデル ヲ モトメテ 2 グラント ケスター カンヴァセーション ピーシズ ニ オケル タイワ ノ ビガク
  • 「 アートプロジェクト 」 ノ ビテキ ヒョウカ : ソノ リロンテキ モデル オ モトメテ(2)グラント ・ ケスター 『 カンヴァセーション ・ ピーシズ 』 ニ オケル 「 タイワ ノ ビガク 」

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抄録

本稿は、「アートプロジェクト」における美的経験について探求するために、美術史家グラント・ケスターが『カンヴァセーション・ピーシズ』において論じた「ダイアロジカル・アート」と、それを分析する枠組みである「対話の美学」について検討する。「ダイアロジカル・アート」では、固定的なアイデンティティや公的言説を超えた想像を可能にする対話(会話)が作品の必須の部分をなす。そして「対話の美学」は、①アートを、他の場所では許容されない問いや分析が可能となる開かれた空間として定義する視点、②アヴァンギャルドの美的経験論では周縁化されている経験の諸側面(未来への時間感覚、社会と環境についての空間的想像力、対話的でコラボレーティヴな他者との出会い)を作品と結びつける視点を含む。本稿では、ケスターの議論をさらに進めて、アートプロジェクトにおいては、他のジャンルのアートとは逆に、対話のプロセス(あるいは直接経験していない対話についての共感的想像)が美的経験の主たる対象であり、作品はその経験を可能にするインフラストラクチャーであるという、「図と地の反転」が生じると論じている。

収録刊行物

  • Co*Design

    Co*Design 3 55-69, 2018-03-30

    大阪大学COデザインセンター

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