抄録
type:text
本稿は、日本語におけるガノ交替現象が成立する条件を、生成文法に用いられる補文標識 C (Complementizer)のタイプという観点から新たに提案したものである。まず、ガノ交替が生じる文法環境について問題を提起し、Hiraiwa(2001, 2005)の理論に従った場合に、名詞的な要素を修飾している際のガノ交替について説明ができないということに触れた。次に、ガノ交替の先行研究について、「名詞主要部の存在を前提としている研究」と「名詞主要部の存在を前提としていない研究」に分けて概観し、問題点を指摘した。それを踏まえて、補文標識 C を C[+end]・C[-end, +T]・C[-end, -T]に分類し、ガノ交替は C[-end]が対象の名詞句を c 統御する場合に成立すると仮定した。そして、C[-end, -T]の場合についてのみ制約を設け、結果として、本稿の仮説によってガノ交替が成立する条件を正しく導くことができた。
収録刊行物
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- さいたま言語研究
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さいたま言語研究 3 1-12, 2019
埼玉大学大学院人文社会科学研究科日本語専攻内 さいたま言語研究会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390290699790643328
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- NII論文ID
- 120006620330
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- ISSN
- 2432857X
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- Web Site
- http://id.nii.ac.jp/1586/00018576/
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- CiNii Articles