<原著>脳内小動脈のいわゆる偽石灰化と内膜病変の成り立ちについて

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タイトル別名
  • Pseudocalcification and Associated Intimal changes in the Human Cerebral Arteries
  • ゲンチョ ノウナイ ショウドウミャク ノ イワユル ギセッカイカ ト ナイマク ビョウヘン ノ ナリタチ ニツイテ

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説明

ヒトの淡蒼球の動脈に見られる偽石灰沈着は,内膜肥厚を引き起こし,淡蒼球梗塞の主因となる。いわゆる偽石灰をエネルギー分散型X線分光器で分析すると,血管壁に沈着したものと,脳組織のそれとは若干成分を異にし,前者には必ずカルシウムと燐が,またほとんど常に鉄が認められ,マグネシウムや亜鉛も高頻度に含まれていた。後者においては鉄の比較的な濃度が高く,カルシウムと燐は少なく,まったく認められないこともあった。また硫黄やアルミニウムが含まれる頻度が高かった。したがって,血管壁のそれはカルシウム・鉄沈着症と呼ばれるべきで,脳実質のいわゆる偽石灰とは区別されるぺきであろう。カルシウム・鉄沈着は,動脈中膜の壊死平滑筋細胞,その周囲や内弾性板周囲に増加した基底膜様物質に生じていた。したがってその成り立ちを異栄養性石灰沈着症と理解できる。内膜肥厚は,沈着症が軽度の場合,軽い細胞・線維性肥厚であったが,その原因は軽度な内腔の拡張と考えられる。沈着症が顕著になると,高度な内膜水腫が高頻度に認められたが,金属沈着に先行した中膜筋細胞の壊死や基底膜様物質の増加などが血管壁内組織液流の停滞を起こし,それが内膜病変の原因であると考えたい。

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