ジェットポンプの原理を用いた発砲スチロール小球の連続噴射装置の開発:種々の地学実験への適用可能性

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地学分野の学習あるいは関連分野を融合した環境学習等において、大気中を移動する固体物質の挙動を考察することがある。例えば、降下火山砕屑物(いわゆる火山灰)、広域風成塵(黄砂など)、長距離移動する汚染された浮遊微小粒子(PM2.5 など)、原発事故で大気中に放出された放射性物質(「放射性クラウド」)等である。こうした現象すなわち浮遊粒子の風送過程を考察する場合、空気中を移動する固体粒子の様子を実際に観察できる実験があれば理解の助けになる。そうした目的の実験として、炭酸飲料の発泡現象の利用や乾燥土の下部にヘリウムガス等を送り込んでの噴出実験などが提案されているが、実際の大気中の浮遊物質の運動を考察するためには継続性や再現性の面で改善の余地がある。本研究では、ジェットポンプの原理を用いて、発泡スチロールの小球を空気中に連続して安定的に噴出させる装置を開発した。この装置で噴射された発泡スチロール小球は、噴出量・到達高度等を比較的容易に制御でき、かつ一定の時間(数分間以上)安定した状態を保持できる。そのため、それらの条件や上空の風の違い等が風送過程にどのような影響を与えるかを実際に観察でき、また同じ条件の実験を容易に再現できる。発泡スチロール小球連続噴射装置は、市販の安価な水道用塩ビ管を使い家庭用の鋸一本で簡単に製作できる。大気中の浮遊物質に見立てた発泡スチロールの小球は、市販の荷造り用緩衝材を利用することで安価で大量に入手できる。この装置は、地学分野における大気中の物質の輸送過程を理解するための実験の基本装置として、幅広い展開可能性をもつと考えられる。

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