<研究ノート>沖縄本島における米軍基地跡地開発の検証 : 北谷町の美浜アメリカンビレッジ地区を例として

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タイトル別名
  • <Research Notes>Utilization and Development of Former U.S. Military Bases on Okinawa Main Island : Based on the case of Mihama American Village District of Chatan Town
  • オキナワ ホントウ ニ オケル ベイグン キチ アトチ カイハツ ノ ケンショウ : チャタンマチ ノ ミハマ アメリカンビレッジ チク オ レイ ト シテ

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抄録

1996年に日米両政府は「SACO最終報告」で,普天間飛行場を含む11施設,合わせて5,002haを条件付きで返還することに合意した.基地返還が実現するにつれて,沖縄県の将来の発展を考える上で,米軍基地跡地の開発利用が重要な課題となる.今まで経済学の観点から基地跡地開発に対する議論はよく見られるが,地理経済学の観点からは少ない.今後も基地が徐々に返還されることを想定すると,これまでに返還された基地の跡地開発はどのように進められてきたのか,また,その開発自体はどのような特徴・内容のものであったのかを地理経済学の面から検証してみたい.

本稿では,沖縄県北谷町の美浜アメリカンビレッジ地区を対象に,商業・リゾートを中心とした基地跡地開発の経緯と現状を,開発事業開始から現在に至る20年のタイムスパンで,業種面の変化に焦点を当てて検討する.具体的には,開発の経緯を①開発計画段階,②開業から店舗進出のピーク時,③ピーク時から現在までの三段階に区分した上で,各段階での進出店舗・企業等の業態の変遷を明らかにし,その業態変遷の持つ意味を考える.そこから引き出される結論として,基地跡地開発が単純に商業開発として行われる場合,近隣商業地との競合関係等からその独自性を失い,長期的には地域開発の実を失いかねないことを指摘する.跡地開発は,他地域との機能分担を計画段階から見据え,地域の独自性を出すことを目指す必要があり,それが地域の持続的な発展へと繋がることを示唆する.

収録刊行物

  • 法政地理

    法政地理 51 15-34, 2019-03-20

    法政大学地理学会

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