世界銀行借款による日本の農業開発プロジェクトの長期的評価 : 二つのパイロットファーム

書誌事項

タイトル別名
  • A Long-term Evaluation of an Agricultural Development Project in Japan Funded by the World Bank : Two Pilot Farm Projects
  • セカイ ギンコウ シャッカン ニ ヨル ニホン ノ ノウギョウ カイハツ プロジェクト ノ チョウキテキ ヒョウカ : フタツ ノ パイロットファーム

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説明

1956年に世界銀行が農地開発機械公団と借款契約を締結して実施された農地開墾事業によって,北海道の根釧パイロットファーム,青森県の上北パイロットファーム,北海道の篠津泥炭地区開墾事業の3サブプロジェクトが実施された。このうち,前二者のパイロットファームは日本政府が計画したものではなく,米国の農業機械会社が世界銀行に提案したもので,世界銀行の主導によって実施されることとなった。パイロットファームはそれまで人畜で行なっていた開墾を大型機械によって短期間で行なうため,入植者は直ちに営農を始めることができた。しかし,分譲された農地は,従来,同地域で適切と考えられていた計画面積より小さかった。一方で借入金が多額であったために,経営に行き詰まり離農する農家が続出した。残った農家は離農した農家の農地を吸収して経営規模を拡大できたため,その後は安定した経営が行えるようになった。現在,二つのパイロットファームは北海道と青森県における中核的畜産地域となっている。根釧パイロットファームの機械開墾方式は北海道の開発モデルとなり,従来の開発様式を一変させた。上北パイロットファームでは,農林省も青森県も畜産業を積極的に振興する意図をもたなかったため,経験が開発モデルとして周辺に伝搬することはなかった。二つのパイロットファームは営農を継続するというプロジェクト目標は達成したが,成果を周辺地域に伝搬させるという上位目標については,根釧では達成されたが,上北では達成できなかった。

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