キルギス人の経済観形成に係わる一考察 : キルギス民族の歴史と行動理論から

書誌事項

タイトル別名
  • Study on the process of formation of Kyrgyz people's economic views
  • キルギスジン ノ ケイザイカン ケイセイ ニ カカワル イチ コウサツ : キルギス ミンゾク ノ レキシ ト コウドウ リロン カラ

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抄録

査読付き研究ノート:Refereed Notes

1991年のソビエト連邦からの独立以降,キルギスでは2005年と2010年に市民革命が起き,二度政権が転覆した。この革命勃発の背景には市場経済化に伴う貧富の格差の拡大があると言われている。また,2000年以降,若年層の出稼ぎと農村の疲弊,国内産業の未発達とインフラの老朽化,生活圏の分化,貧困者の社会的包摂などがキルギスにおける社会現象として顕在化してきている。こうした社会現象は,民主化・市場経済化という環境変化を受けて,キルギス人が一定の経済的な価値観(経済観)に基づいて行動した結果,導出されたものである。その経済観とは,①遊牧民族としての資産形成意識,②バザール経済で培われた商感覚,③遊牧民族としての共同体維持やイスラムの教えによる所得分配思想,④社会主義・計画経済時代に定着したシステム依存,⑤ソビエト連邦時代に培われたグローバル意識の5つであると筆者は考える。本論は,これらの5つの経済観がどのような歴史を経て形成され,どのような行動理論に基づき表出したのかを明らかにする。キルギス人の経済観をその形成過程をも含めて体系的に整理し理解することは,今後キルギスにおいて経済政策を立案・施行したり,社会制度を設計したりするうえで少なからず意味があると考える。

収録刊行物

  • 公共政策志林

    公共政策志林 1 127-142, 2013-03-24

    法政大学公共政策研究科『公共政策志林』編集委員会

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