肥満者の長時間運動時における呼吸循環系機能とホルモン動態

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タイトル別名
  • Cardiorespiratory and Hormonal Responses during Prolonged Exercise in Obese Men
  • ヒマンシャノチョウジカンウンドウジニオケルコキュウジュンカンケイキノウトホルモンドウタイ
  • ヒマンシャ ノ チョウジカン ウンドウジ ニ オケル コキュウ ジュンカンケイ

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抄録

本研究は,肥満者を対象に44〜62%Vo2max強度による60分間の長時間運動時における脂質代謝を,呼吸循環系機能とホルモン動態の面から検討した。結果は,次のように要約できる。1.60分間の平均心拍数は,115〜157拍/分であり,平均相対強度は44.3〜62.1%Vo2maxの範囲内にあった。運動中の心拍数は終了時まで漸次上昇した。2.運動中の呼吸交換比は,運動開始後5〜10分間は上昇を示したが,その後直線的に低下した。運動中の平均呼吸交換比は0.84〜0.89の範囲にあり,エネルギーの消費量は263〜512kcal/hrを示した。3.換気量,酸素摂取量,炭酸ガス排出量とも運動開始10分後から終了時までほぼ一定の水準で経過し,定常状態にあることを示した。4.運動中の血中乳酸濃度は,運動開始から20分間は上昇する傾向にあり,ピーク値は20分後でそれ以後は漸次低下する傾向にあった。5.運動中の血糖値は,運動開始から20〜30分後までは直線的に低下し,それ以後終了時までほぼ一定した値で経過した。6.遊離脂肪酸値は,運動開始直後の10分間はやや安静水準より低下するが,その後終了時まで急激に上昇する傾向を示した。7.インスリンは,血糖値が低下する運動開始20〜30分後までは血糖値と同一パターンで低下し,それ以後終了時までゆるやかな低下を示した。8.カテコールアミンは,運動開始と同時に上昇する傾向を示したが,ノルアドレナリンの上昇がかなり早い時期からみられるのに対して,アドレナリンの上昇は40〜50分後からが顕著であった。9.LDH,GOT,CPKなどの逸脱酵素は,運動時間の経過とともにわずかな上昇を示した。10.中性脂肪,総コレステロールも逸脱酵素とほとんど同様にわずかな上昇を示した。11.血清電解質のうちNaとClは,運動中ほとんど不変であり,Kのみに18.9%の上昇率がみられた。12.運動中の遊離脂肪酸濃度とカテコールアミン濃度との間に0.1%水準の有意な相関がみられた。13.遊離脂肪酸とノルアドレナリンの運動中の変化率間には有意な相関がみられなかった。しかし,遊離脂肪酸の濃度が安静値の1.5倍以上に変化したときアドレナリンの変化率との間に0.1%水準の有意な相関がみられた。14.成長ホルモン,ACTH濃度はともに運動前に比較して運動直後では高い値を示し,成長ホルモンの上昇は統計的に有意であった。

収録刊行物

  • 健康科学

    健康科学 9 97-107, 1987-03-28

    九州大学健康科学センター

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