安全な飲料水の分配に関係する社会的政治的要因 : バングラデシュにおける深井戸の偏った配置

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  • 筒井 康美
    九州大学大学院芸術工学研究院准教授 | 九州大学アジア総合政策センター講師
  • 谷 正和
    九州大学アジア総合政策センター講師 | 九州大学大学院芸術工学研究院准教授

書誌事項

タイトル別名
  • The Study of Socio-Political Factors lnfluencing the Distribution of Safe Drinking Water : The Unequal Allocation of Deep Tubewells in Bangladesh
  • アンゼン ナ インリョウスイ ノ ブンパイ ニ カンケイ スル シャカイテキ セイジテキ ヨウイン バングラデシュ ニ オケル フカイド ノ カタヨッタ ハイチ

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説明

本稿では、バングラデシュの地下水砒素汚染問題を対象として、安全な飲料水が、どのように・どういう人々のところに「不平等」に偏って分配されていくのか明らかにする。ジェソール県シャシャ郡テングラ村に存在する13本の管深井戸の所有者(設置者) を対象とし、その設置経緯を調べたところ、深井戸の設置された場所では、相対的に経済レベルが高く、社会的地位の高い人物の居住がみられ、そのような人物が個人的な情報源、資金そして人的ネットワークを用いて政府助成などを受けることで安全な水源は設置されてきたという共通点があった。深井戸は砒素汚染対策の一環として助成制度により設置されてきたとされるが、実際に深井戸の設置された場所やその経緯をみると、その設置は、砒素汚染の深刻さよりもむしろ、地域の社会的・政治的な事情によって配分されてきたようである。安全な飲料水を必要とする人々のところにあまねく深井戸が分配されるためには、助成による深井戸設置には、一部の富裕層に偏る傾向があることを踏まえた助成制度を提示しなければならない。

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