サミュエル=オーギュスト・ティソの『オナニスム』分析 : 名声と忘却を越えて

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  • 阿尾 安泰
    九州大学大学院比較社会文化学府国際社会文化専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Les analyses de L'Onanisme de Samuel-Auguste Tissot : Au-delà de la notoriété et de l'oubli
  • Les analyses de L'Onanisme de Samuel-Auguste Tissot : Au-dela de la notoriete et de l'oubli

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抄録

今日では専門家以外ではほとんど言及されることのないティソの『オナニスム』は18世紀においては、医学書としてほとんど考えられないほど売れた国際的なベストセラーであった。その爆発的な売れ行きの背景に、性という領域までも含めての管理を志向する近代資本主義の発展を読み取ろうとする歴史家も少なくはない。ただミシェル・フーコーはそうした分析の成果を踏まえながらも、諸研究が見落としている点に注目しながら、新たな権力支配体制をさらに緻密な形で明らかにしようとしている。確かに、ティソの著作などが引き金となった反オナニスム運動に注目するフーコーの分析は新たな方向を開いていった。しかし、フーコーはそうした運動を重視しながらも、ティソの作品を十分な形で読み込んだわけではなかった。この論文においては、ティソの『オナニスム』を中心にして、そのテクストがいかなる言語戦略で論述を展開していったかを分析する。そこに現れる言語の動きが、19世紀以降の医学論文などと較べると、いかに独特なものであったかを明らかにし、18世紀における知のあり方を考えていく。

収録刊行物

  • 比較社会文化

    比較社会文化 18 25-31, 2012-03-20

    九州大学大学院比較社会文化学府

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