温州みかんの用途別配分方式と配分主体

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タイトル別名
  • System of Allocating Mandarin Oranges by Uses and Nature of Allocator
  • ウンシュウ ミカン ノ ヨウトベツ ハイブン ホウシキ ト ハイブン シュタイ

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最近10年間に, 温州みかんの加工原料仕向け, とくに果汁用仕向け量が激増している. 本研究は①現行のみかん用途別配分のやり方と問題点を明らかにし, ②用途別価格設定について価格差別理論に基づく試案を提示し, ③価格差別理論の実行主体のあるべき姿について, 英米両国の出荷調整制度を比較しつつ検討したものである. 1. みかん用途別配分の現状と問題点について次のことを明らかにした. ①生食用みかんの組収益が極大となるよう全国の生食用仕向け量が決められ, 次に県別に生食刷出荷量が割り当てられている. ②加工原料用みかんの仕向け量は, 全国と県のいずれのレベルにおいても生食用仕向けの残余として算出されている. ⑥これでは加工原料用みかんの収益もふくめた全収益の極大化は期待できないし, また果汁用みかんの安定供給がはかれない. 2. みかん用途別配分量と価格設定について, 価格差別理論に基づいて試算した. 本試算の方法上の特質は次の点にある. ①生食用だけでなく加工原料用もふくめたみかんの収益極大を日的とした. ②組収益の極大化でなく, 組収益から経費を差し引いた純収益の極大を目的とした. 本試算の結果を農林水産省「65年見通し」および藤谷試算と比べると次の点が異なる. ①総生産量は大幅に減少している. ②生食用と加工原料用のいずれも減少しているが, とくに加工原料用の縮小率が大きい. ③生食用価格はかなり上昇する. ④生産者粗収入はやや減少する. 3. 価格差別理論の実行主体について次のことを指摘した. ①同理論における実行主体は独占体である. 独占体による配分は, 生産者の利益を実現するとしても, 往々にして社会一般の福祉に背反するおそれがあるので, その防止を考虐する必要がある. ②そこで主体のあり方として, 次の2つのいずれかが望ましいと考えられる. 1つは現行の全国協議会を行政指導で補強するあり方であり, いま1つは, 全国を少数のブロックに分け, ブロック単位に強力な統制力をもっ配分組織(マーケティング・ボード)をつくることである.

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