黄海漁場におけるコウライエビの成熟について

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タイトル別名
  • On the Maturation of the Korai Prawn,Penaeus chinensis (Osbeck) in the Yellow Sea
  • コウカイ ギョジョウ ニ オケル コウライエビ ノ セイジュク ニ ツイテ

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抄録

コウライエビについて資源生物学的特性として重要な成熟に関する基礎的知見を得るため, 1981年月3,黄海漁場の2地点において調査船によって採集された52尾の雌エビ標本を用いて研究を行った.1 卵巣の外部形態ならびに組織切片に基づく内部構造および卵形成過程の観察を行った.卵の増殖は formative region の生殖上皮で行われると考えられ,内腔に分離された未熟な卵は,内腔から各卵嚢の内部にかけて大量に認められた.卵嚢内では卵嚢壁に沿った卵の発達が顕著であり,発達途上卵を取り囲む液胞細胞層の厚さは卵の成長に伴い変化した.2 卵巣の部位による卵成熟度の差異は認められなかった.3 卵径組成により卵巣の成熟度を区分し,組織学的特徴に基づく卵の成熟段階との対応を検討した.発達途上卵が前卵黄期に達した頃から卵巣は未熟なa型からb型へ発達し,卵径組成において峰の形成が開始され,第1次卵黄球期に達するとC型卵巣となり,その峰は明確な一つの卵団を形成した.さらに第2次卵黄球期に達すると,それは未熟な卵群から完全に分離した卵田を形成し,d型卵巣となった.このように卵巣成熟の早期に一つの分離卵団が形成されることから,卵巣卵の発達様式は部分同時発生型に属するものと思われ,発達途上卵の卵数が産卵数の指標となると考えられる.4 発達途上卵の卵数E と頭胸甲長L との関係は,発達途上卵が第1次卵黄球期以上に適したCおよびd型卵巣を対象とした場合に高い相関が認められ,E=0.0770L^(4.0391)(r=0.94)の式で表わされた.

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