イネえそモザイク病葉に見られる細胞質内封入体

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タイトル別名
  • Cytoplasmic Inclusions in Rice Leaf Cells Infected with Rice Necrosis Mosaic Virus
  • イネエソ モザイク ワクラバ ニ ミラレル サイボウシツナイ フウニュウタイ

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抄録

イネえそモザイクウイルスに侵されたイネ葉肉細胞の電顕観察を行なった結果,健全細胞には見られない2種類の細胞質内封入体が観察された.1つはEdwardsonらが名付けた管状封入体(cylindrical inclusion)と同類と思われるもので, pinwheelやbundle型として観察される.他は管状物が密に集まってできた膜状封入体(MI)である.MIの横断像は楕円形あるいは円形で,径4μmに達するものもあった.その構造は管状物の切断される角度によって,ハチの巣状,網目状,あるいはラメラ構造を呈し,非常に複雑であった.ハチの巣状に見える部分では,個々の穴の直径は20~30nmであり,相接する3個の穴の真中に径10~12nmの電子密度の高いスポットが見られた.このスポットはその径がウイルス粒子の幅(13~14nm)に近い値であったが,切片を傾斜して観察したときの像変化から,管状物を相互に結合する繊維の断面であろうと思われる.また細胞質のvesicle化が認められる細胞ではvesicleが変化したと思われるbundle型の像が観察されたが,この構造物が管状封入体やMIの形成に関係あるかどうか明らかでない.ウイルス様粒子は細胞質内にのみ存在し,散在するかあるいはbundleに付随して見られた.封入体やウイルス様粒子の見られる細胞では葉緑体の両端が細くなったり,一部突出した形のものが多かったが,核,ミトコンドリアに変化は認められなかった.

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