マツノハマルカイガラムシとその寄生蜂アズマツヤコバチに関する生態学的研究

  • 古 徳祥
    中華人民共和国広州市中山大学昆虫学研究所
  • 村上 陽三
    九州大学農学部附属生物的防除研究施設天敵増殖学部門

書誌事項

タイトル別名
  • Ecological Studies on the Pine Needle Hemiberlesian Scale, Hemiberlesia pitysophila Takagi (Homoptera: Diaspididae) and Its Parasitoid, Coccobius azumai Tachikawa (Hymenoptera: Aphelinidae)
  • マツノハマルカイガラムシ ト ソノ キセイバチ アズマツヤコバチ ニ カンスル

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説明

マツノハマルカイガラムシは沖縄諸島,先島諸島及び台湾に分布し,近年中国広東省に侵入したマツの害虫である.1989年9月中旬~10月上旬に石垣島で行った調査に基づき,予備的生命表が作成された.それによって,ほふく1齢幼虫から産卵雌成虫までの間の生存率は8.41%と推定され,齢別死亡率の中では雌成虫期のそれが最大で,そのうち30.6%が寄生によるものであることが明らかとなった.寄生者の中ではアズマツヤコバチが最優占種で,マツノハマルカイガラムシの雌成虫初期から産卵開始後にかけて寄生することが認められた.アズマツヤコバチの産卵数は雌当たり平均5.7卵で,産卵した雌成虫の平均寿命は9.3日であった.また産卵管挿入時間は47~203秒で,刺針後しばしば寄主体液摂取行動が観察され,その吸汁時間は203~346秒であった.寄主を与えず産卵させなかった場合の平均寿命は,餌として蜂蜜希釈液を与えると雌21.6日,雄16.2日であったが,水のみ与えた場合や無給餌の時は極めて短命であった.同属のヤノネツヤコバチに比べると,寿命も産卵数も極めて低い値であった.

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