埼玉県狭山湖畔におけるアカネズミApodemus speciosusの分布と繁殖活動

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タイトル別名
  • Distribution and Reproductive Activity of the Japanese Large Field Mouse, Apodemus speciosus around the Lake Sayama, Saitama Prefecture
  • サイタマケン サヤマ コハン ニ オケル アカネズミ Apodemus spe

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抄録

埼玉県南部に生息する小形哺乳類の分布と繁殖活動を明らかにする目的で, 東京都と埼玉県の境に位置する狭山湖畔(標高120-160m)のコナラとクヌギが優占する二次林において, 1979年7月から1981年4月まで毎月1回および1981年11月の合計23回ワナ掛け調査を行った. ワナとしては, ハジキワナおよびパンチュートラップの2種を用い, 林内および林縁部に約20m間隔で合計200個 (1979年8月のみ160個) のワナを毎回ほぼ同一地点に配置した. 採集された小型哺乳類はアカネズミのみ249個体であった. 捕獲率は1979年17.6%, 1980年1.4%および1981年1.1%であった. 雄では体重30g以上を成体とみなしうる証拠が得られ, 精巣は大きいが精嚢は未だ小さな段階, 両者とも大きさを増す段階, 精嚢の大きさの増加が精巣のそれを上回る段階の3段階を経て性成熟に至ることが知られた. 一方, 雌では体重25g未満では膣開口個体が見られなかった. 体重25g以上で初めて膣開口個体および妊娠あるいは哺乳個体が出現した. 繁殖活動中の個体の出現数は体重増加とともに顕著となった. 月別に見た生殖器官の発達程度および体重組成から, 本種の繁殖活動の盛んな時期は雌雄とも春および晩夏~秋の2回と推定され, 狭山湖畔に生息するアカネズミは他の関東および北陸以西の本州低地に生息する本種と同じ繁殖型を持つことが実証された.

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