<論説>道教の神仙観念の一考察 : 尸解仙について

DOI HANDLE Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>A Study of the Immortals who Delivered Themselves by Feigning Death )hih-chieh hsien)
  • 道教の神仙観念の一考察--尸解仙について
  • ドウキョウ ノ シンセン カンネン ノ イチ コウサツ シカイセン ニ ツイテ

この論文をさがす

説明

中国における道教信者の宗教的理想は得仙──仙人に成ることであった。仙人の列伝を通覧するとき天仙・地仙はじめいくつかの種類が数えられるが、その中で尸解により仙を得る尸解仙(地下主者) は、一旦外見上の死を示し、実は本身は劔などの器物をその身代りとして後に残し、死せずして他所へ去ること、蟬や蛇がぬけがらを残すごとくであり、自らは高次の生命を獲るという過程を取るものだと信ぜられた。現身そのままの永続でなく死んで復活し再出現するという観念には、一般に不老不死と言われる神仙についての思想と異質の要素を持つように思われる。かつ六朝以後、薬や劔を用いて尸解を実現しようとする実修が道士により試みられ、はじめ得仙の低級な方法と考えられたものが不信の者をも納得させる行法として説かれてきた。これは金丹を煉り白日昇天するというような空想的なことから、道教がもっと内面的な得道の方法として内丹説を唱えるに至ったことと平行して道教教理の発展を示すものである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 54 (1), 29-42, 1971-01-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ