<論説>イギリス封建制展開への試論

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タイトル別名
  • <Articles>An Essay on the Development of English Feudalism
  • イギリス封建制展開への試論
  • イギリス ホウケンセイ テンカイ エ ノ シロン

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説明

従来閑却されがちであった封建制の契約理念を強調し、私的理念を基礎とした封建制の進展に関して、強大な国王権の展開が、いわば所与の前提としてあったことを特殊イギリス的特色として重視し、封建制の発展と王政の発展とが時期的に並行一致していたことを強調した。そして、ノルマン征服前後の封建制の発展を、私的主従契約の物権化──封の授受──の展開に求め、それが、ノルマン、アンジュー王政の発展という屋根をかりて発展し、身分共同体として安定的な発展をとげてゆくことを展望したが、それはまた同時に、封建的諸関係の空洞化でもあり、封建制の完結でもあると論じた。その後の封建制の顚末について、一四・五世紀の庶子封建制、貴族身分の相剋の中に、身分共同体意識の後退を見通す一方、この時期の庶民院の発展を重視して、封建制固有の地方主義が国制史的発展の中に吸収されてゆくものであるとした。

収録刊行物

  • 史林

    史林 54 (5), 675-700, 1971-09-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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