<論説>ラダイト運動の再検討 : ミッドランドおよび北部綿工業地帯の場合

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タイトル別名
  • <Articles>Reconsideration of the Luddism
  • ラダイト運動の再検討--ミッドランドおよび北部綿工業地帯の場合
  • ラダイト ウンドウ ノ サイケントウ ミッドランド オヨビ ホクブメン コウギョウ チタイ ノ バアイ

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抄録

ラディズムをめぐる通説は、労働節約的機械導入に反発する守旧的生産者層の絶望的一揆、ということであった。しかし、ラディズムの中心地たるミッドランド、北部綿業地帯の両地域では、機械導入と関係なしにラディズムが起っている。実は、ラダイトにとり機械破壊はあくまで戦術にすぎず、運動目標は総蜂起をつうじて政治変革を果すことにあった。団結禁止法によるロンドン通信協会解体以後、生産者による政治変革運動は沈滞し、雇主を相手どっての経済的要求闘争に矮小化されてしまったが、ラディズムを劃期として前者が再び活潑化するにいたった。また、ラダイトの意図を旧生産者層の守旧的志向に矮小化すべきではない。かれらは「非道徳的」な労働の外在化への抵抗、換言すれば工場制の進展に伴なう生産者の自立=自律性剝奪への反抗を意図したのである。こうした生産者の心的態度は、S・ポラードの指摘するように、今日もってイギリス労働者の体内で脈打ちつづけているのである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 55 (6), 780-803, 1972-11-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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