<論説>トルーマン政権と忠誠問題 : 一九四七年忠誠計画成立過程の考察

DOI HANDLE Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>The Truman Administration and the Loyalty Program of 1947
  • トルーマン政権と忠誠問題--1947年忠誠計画成立過程の考察
  • トルーマン セイケン ト チュウセイ モンダイ 1947ネン チュウセイ ケイ

この論文をさがす

抄録

戦後アメリカ社会は労働攻勢の中で幕を開けた。政府の諸統制や左派労働運動の台頭を憂う保守的ビジネスマンは、これを共産主義浸透の結果と捉え、強力な反共宣伝を展開することになる。また議会にあっても保守派は国内治安に関わる幾つかの事件を契機に、その国政調査権を楯に反共宣伝と政府批判に乗り出した。さらに対ソ関係の緊張も加わって、世論は不徹底な中にも次第に保守化しつつあった。ところでこれら諸圧はトルーマン政権にとって必ずしもマイナス面ばかりをもたらすものでもなかった。トルーマン政権は、国内外にまたがる共産主義の跳梁というイメージが孤立主義的な議会や世論を覚睲させる上で極めて有効であることを充分意識していたからである。加うるに政府首脳の個人的資質や新たな世界戦略は何らかの形での国内治安強化策を不可避としていた。一九四六年秋の中間選挙に於いて共和党が大勝した後トルーマン大統領は、世論の動向を見極めた上で、新たな忠誠計画の検討に踏み切った。担った課題からして、この計画が以後の抑圧的な社会の究気形成に資したことはいうまでもない。

収録刊行物

  • 史林

    史林 59 (2), 165-201, 1976-03-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ