<論説>八~一〇世紀の林田農業と家地経営 : 中世的土地所有成立の一前提

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タイトル別名
  • <Articles>Die Rinden-landwirtschaft und der Yaki-betrieb vom 8. bis zum 10. Jahrhundert : Eine Voraussetzung zur Entstehung des mittelalterlichen Grundbesitzes
  • 8~10世紀の林田農業と家地経営--中世的土地所有成立の一前提
  • 8 10セイキ ノ ハヤシダ ノウギョウ ト ケチ ケイエイ チュウセイテキ

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抄録

『平安遺文』に収められた田券類にしばしば見られる「林田何段」というような記事は、今日まで林田と呼ばれる小字地(坪) の田畠何段という風に読まれてきているが、これは、本来は林田農法という特殊具体的な経営方式から起った名称で、焼畑農法から発達した切替え輪作方式による田畠であることを示しているのである。その具体像は本文で述べるが、小論がこの林田農業に着目する所以は、山林原野の開発で占めたその比重を明らかにし、それが分業的生産や交易とも深く有機的に結びついた山野用益形態であり、小農経営の展開はもとより、家父長的農奴主層の地主的土地所有の展開の基盤となり、中世的土地所有成立の一前提たる意味を担ったことを明らかにしようとするものである。そして、それが中世初期における第一次的複合村落共同体の発達の一契機となり、一〇世紀以後の荘園領主的な領域的土地所有の端緒ともなっていく様子を垣間見たいと思う。

収録刊行物

  • 史林

    史林 59 (3), 370-415, 1976-05-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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