<論説>中世寺院成立に関する一考察 : 九~十二世紀東大寺をめぐって

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タイトル別名
  • <Articles>Le Todaiji 東大寺 au commencement du Moyen Age
  • 中世寺院成立に関する一考察--九~十二世紀東大寺をめぐって
  • チュウセイ ジイン セイリツ ニ カンスル イチコウサツ ク 12セイキ トウ

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抄録

九世紀段階の東大寺は、まだ独自の支配機構をもって庄園支配にあたったとは言い難く、他の王臣家が家産制的支配を行っていたのと大きく異なっていた。十世紀に入ってようやく東大寺は別当を中核とする形で機構整備を行うようになる。それが政所であるが、他方でなお国家機関への依存性を残していた。この二側面は寺家が使用した「符」「牒」という二種の文書に表現されていた。十一世紀中葉に至って政所は機構的成立を遂げるが、それは寺内における有力寺僧らの役割が大きな比重をもつことを意味していた。これ以後寺内の動きについては彼らの抬頭と別当の役割の減少がみられることになる。十二世紀になるとこの傾向は明確化し、別当の離寺と共に公文所や預所の登場にみえるように寺内有力僧の様々な動きが注目されるようになる。またかかる有力僧は寺役対桿すら行うような私領主の側面をもっていた。このように寺内は彼らを核として分権化の様相を深めていた。

収録刊行物

  • 史林

    史林 61 (4), 524-561, 1978-07-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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