<論説>アッバース朝中期における金銀通貨について

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タイトル別名
  • <Article>The Relative Values Between Gold and Silver under the Later Abbasid Caliphate, 907-980 A. D.
  • アッバース朝中期における金銀通貨について
  • アッバースチョウ チュウキ ニ オケル キン ギン ツウカ ニ ツイテ

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抄録

貨幣価値の変動は、財政収支、軍隊・官員の月俸、穀物価格など、広義の物価問題に多大の影響力をもつ。アッバース朝中期 (十世紀) における金銀比価は、欧米古銭学・歴史学の研究成果によっても、細部について依然不明確な部分が残されている。高い史料的価値をもつ同時代史料、『コム年代記』にみえる具体的記述に基づき、ミスカワイフの書その他にみえる史料を検討すると、次の如き金銀比価の存在が結論づけられる。第一に、標準重量をもつ金銀の地金比価は、1 dinar=13 2/3 dirhamである。第二に、標準重量・金位を具備した金銀貨幣の比価は、1 dinar=15 dirhamである。第三に、標準重量・金位をもつ純金地金と制式銀貨との比価は、1 dinar=17 dirhamである。そして、日常の取引決済には、制式・偽造の金銀貨幣とともに、粒銀・砕銀・銀鋳込地金が多く使用されていた

収録刊行物

  • 史林

    史林 62 (3), 419-438, 1979-05-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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