<論説>シベリア原住民の地理的概念 : 今世紀初頭以前を中心に

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書誌事項

タイトル別名
  • <Article>The Geographical Conception of Siberians
  • シベリア原住民の地理的概念--今世紀初頭以前を中心に
  • シベリア ゲンジュウミン ノ チリテキ ガイネン コンセイキ ショトウ イゼン

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説明

シベリア原住民の地理的知識がこの地方の近代的な地図の製作過程に一定の貢献をなしたことが指摘される。かれらが元来もっていた地理的な知識といわれるものの中には原始的な宇宙観あるいは空間認識が含まれており、そのような概念も地図学史ないしは地理学史上、重要な意義をもつものと考えられる。シベリアに関する民族誌学的な研究によって原住民の地理的概念をさぐって行くと、いくつかの民族の宇宙観・空間認識に共通した特徴を見出せる。それは父系氏族制社会に起源をもつ小集団が狩猟・漁撈生活を営むために形成していた領域ないしは勢力圏の状態を反映したものであることがわかる。その実態は主として河川を中心軸とする、相互の力関係によって可動的な中心地域であり、それが小集団から大集団へと階層的な圏をなしていたと見られる。近代的な地図製作過程で有意義な貢献をなしたのはシベリア各地の原住民がもっこうした各勢力圏内に関するきわめて正確な地理的知識であった。

収録刊行物

  • 史林

    史林 64 (6), 767-790, 1981-11-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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