<論説>ノルマン朝シチリア王国に関する一考察 : 財務組織を中心として

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タイトル別名
  • <Article>The Norman-Sicilian Kingdom : chiefly from the side of its financial institution
  • ノルマン朝シチリア王国に関する一考察--財務組織を中心として
  • ノルマンチョウ シチリア オウコク ニ カンスル イチコウサツ ザイム ソシキ

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抄録

シチリア史の中でも黄金時代の一つに数えられるノルマン朝シチリア王国は、種々の要素を内包しているが故に、その性格づけに関して多くの見解が提示されてきた。本稿は、財務機構の変遷を通してそのあり方を検討すると共に、国王を中心とする統治の理念的側面を探ろうとするものである。その結果として、以下のことが明らかになった。少数者たるノルマン人支配者は、現実的必要性から現地人の助力を求めるため、それまでの慣習、伝統を保持した。そこで、ギリシア、ラテン、アラブという三要素が並存する多元的国家体制が生まれ、その上に位置づけられる王は、神政君主思想によって権威の高揚を図る一方で、実際的権力を得るために、既存の組織を利用しながら行政機構を整備し、独自の中央集権的専門機構を生みだした。その王権理念と中央集権的な志向は、この後のイタリア南部の王国に継承されていくことになる。

収録刊行物

  • 史林

    史林 64 (6), 850-883, 1981-11-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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