<論説>幕府―守護体制の変質過程 : 十六世紀前半の「国役」を中心に

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書誌事項

タイトル別名
  • <Article>The Changing Process of the Bakufu-Shugo 幕府-守護 Regime : A case study of the Kuniyaku 国役 imposition in the first half of the century
  • 幕府-守護体制の変質過程--16世紀前半の「国役」を中心に
  • バクフ シュゴ タイセイ ノ ヘンシツ カテイ 16セイキ ゼンハン ノ コク

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抄録

室町慕府ー守護体制の根幹としての意義を有する幕府の一国平均役の戦国期における実態については、戦国期を幕府-守護体制の全面的な崩壊期とする認識により、従来全く明らかにされる事がなかった。しかし、守護家の文書の散佚という史料的制約を考慮しつつ、改めてその事例を拾い出した結果、一六世紀前半における一国平均役が、一五世紀後半のそれと同様に守護に対する定額賦課としての「国役」の形態を有する事、また本来の地頭御家人役も同様に「国役」として賦課されている事、そしてこれらの賦課体制の地域的なひろがりが基本的に一五世紀後半のそれを継承するものであった事が明らかとなった。しかもそこにおける国役の賦課は、守護の領域支配の展開と密接な連関を有しつつ、守護の領域支配の原理を規定していたのであり、ここに幕府一守護体制の変質過程の最後の段階を見る事ができる。そして、一六世紀中葉以降、守護勢力の相次ぐ没洛と共に、幕府-守護体制は最終的な崩壊を迎えるのである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 68 (4), 559-584, 1985-07-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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