<論説>参議論の再検討 : 貴族合議制の成立過程

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タイトル別名
  • <Articles>Reconsideration of Theories on the Sangi 参議 : Process of Establishment of the Aristocratic Council Organization
  • 参議論の再検討--貴族合議制の成立過程
  • サンギロン ノ サイケントウ キゾク ゴウギセイ ノ セイリツ カテイ

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抄録

大宝二年五月、「参二-議朝政一」せしむという形ではじめて登場した参議については、これまで律令太政官制にもれた氏族の吸収という理解がなされてきた。これは太政官機構が有力氏族による合議制であったとする見方に基づく一種の氏族均衡論といってよく、近時これに対する疑問からいくつかの参議論も現われたが、参議を当初から議政官とみる点では従来の説の枠内にあるといわざるを得ない。参議のもった本来的な役割は朝政参議=待問参議、すなわち天皇の下問に対して意見を具申する個人的なものであり、むしろ私的・非合議的な性格をもつ点において、大臣以下の議政官とは異質な存在であった。換言すれば、「参議」の制は、当初限定された機能しかもたなかった議政官合議制を補完する役割をになって登場したともいえる。本稿は従来の学説史的反省に立ち、こうした初期の参議(朝政参議) が議政官(廟堂参議) 化していく過程を多角的に考察し、それを通して貴族合議制が熟成され確立していく過程を論じたものである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 69 (5), 673-711, 1986-09-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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