<論説>奈良時代の宣

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タイトル別名
  • <Articles>he Sen 宣 of the Nara Period
  • 奈良時代の宣
  • ナラ ジダイ ノ セン

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説明

本稿は奈良時代の史料に見られる「宣」の性格を論じたものである。宣は、(1)女官などが内裏の意向を伝えた<奏宣の宣>、(2)官司内の事務決裁たる<宣=判>、(3)それ以外の私的な<権威的な宣>、の三つの類型に分けられる。このうち<宣=判>の実体は文書・判文である場合があり、官司内の宣は文書行政と密接に関係していた。ここで<宣=判>という関係が成り立つのは、日本律令国家の官司が案巻による自筆決裁のシステムを当初から持たず、主典の公文読申に対して口頭処分がなされていたからである。一方、宣の伝達経路、方法もある程度復原し得た。そして、女官などの<奏宣の宣>が口頭伝達らしいこと、宣を伝える文書が存在したこと、それが形式・手続き的に平安時代の宣旨の起源と解されること、などが明らかになった。

収録刊行物

  • 史林

    史林 71 (4), 503-540, 1988-07-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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