<論説>前五世紀ギリシアの歴史家と神託

DOI HANDLE Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>Oracles and Ancient Greek Historians in the 5th Century BC
  • 前5世紀ギリシアの歴史家と神託
  • ゼン 5セイキ ギリシア ノ レキシカ ト シンタク

この論文をさがす

抄録

古代ギリシア社会において重要となったのは、神の意志のあらわれる神託や前兆であり、神託研究は、厳密な史料批判に基づく真偽判定に重点を置きつつ展開されてきた。しかし、このような研究が引き出した結果は、当時の人々の神託に対する姿勢との間に矛盾を抱えることとなった。筆者は、このような問題を解決し、古代ギリシア人と宗教の関わりをもう一度見直そうと試みる。そこで、その手がかりを見いだすために、前五世紀の歴史家、ヘロドトスとトゥキュディデスを本論文の対象とする。二人の神託に対する態度は、全く対照的で、共通点の見られないものと従来考えられていた。筆者は、彼らの作品の中の神託を比較し、単に神託を信じていたか否かという二者択一的な結論を出すのではなく、神託を受け取るに際して何が重要と思われていたかを考察する。そして、本論文の考察によって、筆者は、神託を受け取った者の解釈の重要性が、二人の態度に共通してみられ、ギリシア人の宗教に対する態度を理解する手がかりとなるのではないかという結論を得た。

収録刊行物

  • 史林

    史林 77 (6), 840-870, 1994-11-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ