<論説>漢代の掾史

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タイトル別名
  • <Articles>Yuanshi in the Han period

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抄録

漢代における郡県の地方官府は中央派遣の数名の長宮・次官と、彼らによって地元から採用される多数の属吏によって構成される。漢初以来、属吏には卒史や令史等の等級が存在していたが、前漢後期以降、これに代わって掾や史といった等級が普及していく。本稿では、掾史という等級の性格を検討し、以下の結論を得た。すなわち卒史等の等級が百石・斗食等の官秩と結合し、属吏個入に付随するのに対し、掾史は固有の官秩をもたず、列曹・門下等の属吏の就く職に付随する。属吏は卒史や令史に任命されることによって特定の官秩を有し、これらの等級を保持したまま、何らかの職の掾史に「署」されることにより特定の職分をもつ。故に、一人の属吏が掾史であることと卒史等であることは矛盾しない。また、卒史等の等級は、秦以来の官制に明確な位置付けを有し、その任命には制度的規制が強く働いていた。一方、個々の職に付随する掾史への任命は、制度上の規定ではなく、官府の現場の評価による。このような性格をもつ掾史が前漢後期以降、急速に普及していくことは、卒史等の官秩に基づく序列の改編、すなわち、秦以来の一元的官制からの郡県官府の自律化を意味する。

収録刊行物

  • 史林

    史林 81 (4), 513-546, 1998-07-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390290699823106048
  • NII論文ID
    120006597992
  • NII書誌ID
    AN00119179
  • DOI
    10.14989/shirin_81_513
  • HANDLE
    2433/239490
  • ISSN
    03869369
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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