<論説>検非違使別当と使庁 : 庁務の構造と変遷

DOI HANDLE Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>The Judicial System of the Kebiishicho in the Heian Period
  • 検非違使別当と使庁--庁務の構造と変遷
  • ケビイシ ベットウ ト シチョウ チョウム ノ コウゾウ ト ヘンセン

この論文をさがす

抄録

本稿では、平安時代における検非違使庁の政務(庁務) の仕組みとその変遷を明らかにした。まず、『中右記』永久二年記を素材に別当家における「庁座」と「門前」、使庁における<政>と<内問>の役割を考え、次に、十二世紀の庁務のあり方を復元した後、十世紀から十二世紀に至る庁務の変遷を辿ってみた。その結果、本来、使庁の政舎で佐が主宰して毎日行なわれていた<政>を中核とした庁務のあり方が、摂関期以降、別当家を中心とするシステムに変化したことを確認した。変化の背景には、十世紀後期以降の<政>の衰退によって検非違使官人が参会する機会が減少し、日常的な庁務の多くが各官人の許に個別化・分散化したため、庁務を再統合する必要が生じたこと、権門体制への移行にともない権門間の利害調整に別当が直接当たる必要が生じたことなどが考えられる。以上のような変化は、鎌倉時代以降における庁務の起点と見なしうるもので、いわば古代的な使庁から中世的な使庁への転換を示す現象であったと評価できる。

収録刊行物

  • 史林

    史林 82 (1), 1-35, 1999-01-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ