<論説>ラタナコーシン朝前期における文書処理システム : クロム・マハータイ (民部省) を事例として

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書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>The Documentary Administration in the Early Rattanakosin Period (1782-1868) : The Case of the Krom Mahatthai, Ministry of Civil Affairs
  • ラタナコーシン朝前期における文書処理システム--クロム・マハータイ(民部省)を事例として
  • ラタナコーシンチョウ ゼンキ ニ オケル ブンショ ショリ システム クロム マハータイ ミンブショウ オ ジレイ ト シテ

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抄録

本稿は北方の統治を司るクロム・マハータイにおける文書処理システムの復元を通して、ラタナコーシン朝前期(一七ハ二―一八六八年) シャムの中央行政機構の実態とその性格を明らかにすることを目的とする。地方からの上申文書は下級官吏である当直宮が接受したのち、しかるべき官僚に送られた。その内容は謁見において官僚が音読することによって国王に伝達された。一方、命令文書は帳簿担当次官、北方担当民部局帳簿担当副局長といった官僚が草案を作成したのち、官僚による閲覧や修正を経て、民部大臣やその代理によって発給が裁可された。国王へは謁見に際して大臣ないしその代理が裁可を仰いだ。命令文書の多くは勅命として発給されたにもかかわらず、国王が常に発給を裁可していたわけではない。かかる文書処理システムから、当該期の政治システムは官僚側に重心があったといえる。そのことを認識した四世王モンクットは親政を可能とする政務体制の構築を目指した。

収録刊行物

  • 史林

    史林 89 (6), 851-892, 2006-11-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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