<論説>一四世紀ヴィスコンティ国家下ベルガモにおける代官と代官区

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タイトル別名
  • <Articles>Il vicario e il vicariato a Bergamo del XIV secolo sotto lo stato visconteo
  • 14世紀ヴィスコンティ国家下ベルガモにおける代官と代官区
  • 14セイキ ヴィスコンティ コッカカ ベルガモ ニ オケル ダイカン ト ダイカンク

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抄録

本稿はルネサンス期イタリアの代表的地域国家(領域国家) であるヴィスコンティ国家について、その領域支配制度における革新的要素の一つである、農村部及び渓谷部に設置された代官区の規範と現実を検討し、その特質を被支配地域の在地社会との関係において明らかにした。ヴィスコンティ国家の代官という役職の定着と発展を支えたのは、在地社会内部でグェルフィとギベッリーニの党派抗争を展開しつつ、そこに生じる必要を代官の役職に結実させていった渓谷や農村の住民達であった。彼らは規範的水準での代官の役職の解釈にも、在地的需要を反映させ、同時に代官の権力の弱体性に基づいて、国家と地域の関係に保護と庇護の双務的性格を与え、更に在地紛争遂行における正当化の根拠、又は有利な回路として国家を利用していった。一四世紀のヴィスコンティ国家の下では、このような国家と地域の不可分の関係が、グェルフィ・ギベッリーニ抗争の在地的展開を介して形成され、地域国家の展開を支えていたのである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 90 (3), 391-424, 2007-05-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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