<論説>泰山娘娘の登場 : 碧霞元君信仰の源流と明代における展開

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タイトル別名
  • <Articles>On the Appearance of Taishan Niangniang : Rethinking the Origin of Bixia Yuanjun and the Growing Popularity of Her Cult during the Ming Dynasty
  • 泰山娘娘の登場--碧霞元君信仰の源流と明代における展開
  • タイザンジョウジョウ ノ トウジョウ ヘキカ ゲンクン シンコウ ノ ゲンリュウ ト ミンダイ ニ オケル テンカイ

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抄録

一六世紀以降の中国では極めて多くの民衆が泰山に巡礼した。彼らの目当ては頂上に祀られる女神「碧霞元君」であった。この女神は、北宋の真宗の封禅の際に見つかったとされる玉女像がその起源とされるが、少なくとも明中期までは碧霞元帥という名前は見られず、信仰も泰山府君には遠く及ばなかった。現在のような地位を得たのは、国家による顕彰を受けた明代中期のことであった。一六世紀後半に泰山を旅した文人は、夜明け前から集団で参詣する敬虔な人びとを目にすることになる。そのような光景を見た明末の士大夫たちは、国家に認められたこの女神が由緒正しいことを説明しなければならなかった。そこで彼らが主張したのは、碧霞元君は黄帝の娘や華山の玉女であるという物語であった。しかし、この物語は民衆の認識とは乖離していた。民衆にとって碧霞元君はあくまでも泰山娘娘だったのである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 93 (4), 506-540, 2010-07-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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