<論説>慈善医療の商業化とスキャンダリズム : ホロウェイ・サナトリアム精神病院を中心に

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タイトル別名
  • <Articles>Commercialization of Charitable Medicine and Medical Scandal Mongering : With Particular Reference to Holloway Sanatorium
  • 慈善医療の商業化とスキャンダリズム--ホロウェイ・サナトリアム精神病院を中心に
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抄録

本稿は一九世紀末から二〇世紀初頭の英国における慈善医療の商業化を検討するものである。近代英国における慈善は福祉国家の前段階として評価されがちであった。しかし近年再検討が進み、慈善は近代英国が標榜する民間公共社会を象徴する社会的事業であったことが理解されつつある。しかし慈善医療については、一九世紀末になると国家医療の登場、慈善資金の減少、中産階級向けの病院施設の欠如、医療の専門分化などが背景となり、徐々にその篤志的性格を変え商業化の一途をたどろうとしていた。そして、大衆的ジャーナリズムが勃興する時代において、この慈善医療の商業化はスキャンダルとして扱われていったのである。その事例として、本稿はホロウェイ・サナトリアム精神病院における一八九五年のスキャンダルを検討し、慈善医療が商業的性格を強めつつ医療布場で生き残りを模索する様相に迫ることによって、一九世紀末から二〇世紀前半における慈善医療の歴史的特質を論じる。

収録刊行物

  • 史林

    史林 94 (5), 693-732, 2011-09-30

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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